テコンドーに役立つ筋力トレーニング(ウェイトトレーニング)

当道場では、稽古の中で拳立て伏せや腹筋、ランニングなど基礎的なトレーニングを取り入れていますが、さらに筋力トレーニングを加えることは、競技力向上や怪我の予防に非常に効果的です。普段の稽古にプラスして行うことで、技のバランスが整い、スピードやパワー、跳躍力の向上が期待できます。
これらの効果は、型の完成度、組手における動作のキレやスピード、試割の威力と精度の向上など、テコンドーのすべての種目・場面で不可欠な要素を支える基礎となります。
今回は、テコンドーに特に役立つ「ウェイトトレーニング」について、実践的な観点からご紹介します。

ウェイトトレーニングの意義

山上先生によれば、ウェイトトレーニングは単に筋力を高めるためだけでなく、体の各部位の動かし方を意識するアプローチとしても有効であるとのことです。種目ごとに使用する筋肉を意識しながら行うことが大切であり、フォームを正しく守り、適切な負荷設定で取り組むことが重要です。
そのためには、一部の筋肉のみを鍛えるのではなく、全身をバランスよく鍛えることも心がけましょう。特に、筋肉そのものよりも「関節の動き」を意識することが大切です。例えば下半身なら、足首、膝、股関節の連動した動きを意識し、上半身では「押す動作」「引く動作」それぞれを意識してトレーニングを行います。

おすすめのウェイトトレーニング種目

○上半身のトレーニング
・バックエクステンション(体幹と脊柱起立筋群の強化による姿勢保持力や蹴りのバランス向上)
・シットアップ(腹筋群の強化による体幹と蹴り動作の安定性強化)
・懸垂(引く力の強化による引き手動作・ディフェンス力向上)
・ベンチプレス(押す力の強化による突き動作の威力増強)
・ショルダープレス(肩周りの安定性向上による打撃の精度アップ)
これらの種目を行うことで、型では軸の安定や突きの威力が向上し、組手ではパンチの威力やディフェンスの強さが高まります。特に、型における突きの引き手や、組手におけるパンチの引き戻し動作も、背中の意識を高めることによってよりスムーズになります。

○下半身のトレーニング
・スクワット(下半身全体の出力増強と立ち方及び蹴りの安定性強化)
・ランジ(蹴りのバランス力と移動動作の安定性向上)
・デッドリフト(体幹・背筋群強化による姿勢保持と爆発力向上)
・ハイクリーン(瞬発力と全身連動性の強化)
・ジャンピングスクワット(跳躍力・瞬発力向上)
これらの種目を行うことで型における体重移動のバランスや立ち方の安定、組手におけるフットワークの安定や蹴りのキレにもつながります。

これらはいずれも「多関節運動」であり、複数の筋群と関節を協調させる能力を高めるため、テコンドーの動作に必要な全身の連動性向上に役立ちます。

トレーニングを効果的に行うために

ウェイトトレーニングの目的は、筋肉量を過剰に増やすことではありません。必要な基礎筋力を向上させ、より高強度な稽古や競技に耐えうる身体作りを目指すことが大切です。
トレーニングを行う際は、次のポイントに注意しましょう。
・個人の特性や現在の能力に合わせて無理のないトレーニングを行う
・鍛える部位や動きを常に意識しながら行う(フォームを意識して行う)
・鍛える部位や動きがテコンドーの動作でどのように使われるか意識しながら行う
・強度(回数や重量)は段階的に少しずつ増やしていく
・1回で終わらせず、継続して取り組む
・トレーニング後はストレッチや栄養補給、十分な睡眠を心がける

ウェイトトレーニングを正しく継続することで、テコンドーに必要なあらゆる動作の土台が安定し、より高いレベルの技術習得と競技力向上が可能になります。 積極的に取り入れ、稽古の質そのものを一段上げていきましょう!