約束組手(三歩)

テコンドーにおいて大切な稽古のひとつに、「約束組手」があります。
約束組手とは、2人1組となって、1人が攻撃、もう1人が防御の役割を担当し、あらかじめ決められた動作を行う組手の稽古法です。
各攻撃技やそれに対処するための動作を身に付け、適切な距離感やタイミングを学ぶことができます。
繰り返し練習することで身体が動きを覚え、実際の自由組手でも身体が咄嗟に適切な反応をすることができるようになります。
組手の稽古として非常に大切であることに加え、テコンドーの動作の用法を正しく理解するためにも最適な稽古です。

約束組手には、以下の種類や基本原則があります。
【約束組手の種類】
○ 初級一歩約束組手:8級から7級の習得課題となっています。他の約束組手に比べ構成がシンプルな初めに学ぶ約束組手です。
○ 三歩約束組手:6級から5級の習得課題となっています。攻撃側は3歩前進しながら同じ技で攻撃を行い、防御側は3歩同じ技で防御を行い最後に反撃を行います。3歩の移動が伴うため立ち方の正確性が求められます。
○ 二歩約束組手:4級から3級の習得課題となっています。2歩の攻撃と防御により構成されます。技が高度になるとともに多彩になります。
○ 一歩約束組手:2級の習得課題となっています。一番から十七番まであり、高度な攻防が行われます。
○ 半自由約束組手:1級の課題となっており、自由に様々な動作を組み合わせた約束組手を作ります。

【約束組手の基本原則】
○ お互いに相手から目を離さないこと
○ 攻撃は適切な部位で目標となる相手の急所をよく狙うこと
○ 防御は相手の攻撃が当たる直前に適切な部位で受けること
○ 避けるときは次の反撃などを行うことが出来る距離に避けること
○ 反撃は最後の防御完了直後に行うこと
など

上記の基本原則を1つ1つ意識して、練習に取り組みましょう。

以前には、8級から7級の習得課題として初めに学ぶ「初級一歩約束組手」について紹介しました。
今回は、6級と5級の課題である「三歩約束組手」について紹介します。
約束組手(初級一歩)に関する記事はこちら! 三歩約束組手は、2番目に習う約束組手で、攻撃側は3歩前進しながら同じ技で攻撃を行い、防御側は3歩同じ技で防御を行い最後に反撃を行います。
「歩を進めながら正確に攻撃し、後退しながら確実に防御する」というシンプルな動きが基本となりますが、 この3歩の中に詰まっているのは、「構えた姿勢から崩れずに移動できるか」「1歩ごとの間合いを一定に保てるか」「反撃に移る準備を3歩の間で整えられているか」という、テコンドーの技術の“根っこ”です。
また、初めての「三歩移動」を伴う組手であることから、これまでの初級一歩約束組手よりも、動作の正確性・集中力・反復精度が求められます。段階が上がっていくにつれて技が複雑になるため、この段階で正確な「距離感」と「タイミング」の基本を身につけることが、その後の上達を大きく左右します。

具体的な動作は、以下のとおりです。

○ 一番
攻撃 準備姿勢:ナラニ・ジュンビソギ→コンヌンソ・パカパルモ・ナジュンデ・パロマッキ(右足下げて)
攻撃技:コンヌンソ・カウンデパロチルギ (右足⇒左足⇒右足の順に前進して三回)
防御 準備姿勢:ナラニ・ジュンビソギ
防御技:コンヌンソ・アンパルモ・カウンデ・ヨプマッキ(後退して三回:右足下げる⇒左足下げる⇒右足下げる)
反撃: コンヌンソ・カウンデ・パンデチルギ

○ 二番
攻撃 準備姿勢: ナラニ・ジュンビソギ→コンヌンソ・パカパルモ・ナジュンデ・パロマッキ(右足下げて)
攻撃技:ナジュンデ・アプチャプシギ(右足⇒左足⇒右足の順に前進して三回)
防御 準備姿勢:ナラニ・ジュンビソギ
防御技:コンヌンソ・パカパルモ・ナジュンデ・パロマッキ(後退して三回:右足下げる⇒左足下げる⇒右足下げる)
反撃: 前足アプチャプシギ

○ 三番
攻撃 準備姿勢: ナラニ・ジュンビソギ→コンヌンソ・パカパルモ・ナジュンデ・パロマッキ(右足下げて)
攻撃技:ニウンチャソ・カウンデ・パンデ・チルギ(右足⇒左足⇒右足の順に前進して三回)
防御 準備姿勢:ナラニ・ジュンビソギ
防御技:ニウンチャソ・アンパルモ・カウンデ・ヨプマッキ(後退して三回:右足下げる⇒左足下げる⇒右足下げる)
反撃: ニウンチャソ・オプンソンク・カウンデ・パンデトゥルキ

○ 四番
攻撃 準備姿勢: ナラニ・ジュンビソギ→コンヌンソ・パカパルモ・ナジュンデ・パロマッキ(右足下げて)
攻撃技:コンヌンソ・ノプンデ・パロチルギ(右足⇒左足⇒右足の順に前進して三回)
防御 準備姿勢:ナラニ・ジュンビソギ
防御技:コンヌンソ・パルモチュキョマッキ(後退して三回:右足下げる⇒左足下げる⇒右足下げる)
反撃: コンヌンソ・ノプンデ・パンデチルギ

○ 五番
攻撃 準備姿勢: ナラニ・ジュンビソギ→コンヌンソ・パカパルモ・ナジュンデ・パロマッキ(右足下げて)
攻撃技:ニウンチャソ・ソンカル・カウンデ・パクロテリキ(右足⇒左足⇒右足の順に前進して三回)
防御 準備姿勢:ナラニ・ジュンビソギ
防御技:ニウンチャソ・ソンカル・テビマッキ(後退して三回:左足下げる⇒右足下げる⇒左足下げる)
反撃: 前足カウンデ・ヨプチャチルギ

○ 六番
攻撃 準備姿勢: ナラニ・ジュンビソギ→コンヌンソ・パカパルモ・ナジュンデ・パロマッキ(右足下げて)
攻撃技: カウンデ・ヨプチャチルギ(右足⇒左足⇒右足の順に前進して三回)
防御 準備姿勢:ナラニジュンビソギ
防御技:ニウンチャソ・パルモ・テビマッキ(後退して三回:左足下げる⇒右足下げる⇒左足下げる)
反撃: 左ノプンデ・パンデトルリョチャギ

○ 七番
攻撃 準備姿勢: ナラニ・ジュンビソギ→コンヌンソ・パカパルモ・ナジュンデ・パロマッキ(右足下げて)
攻撃技: ニウンチャソ・カウンデ・パンデ・チルギ(右足⇒左足⇒右足の順に前進して三回)
防御 準備姿勢:ナラニ・ジュンビソギ
防御技: ニウンチャソ・アンパルモ・カウンデ・アヌロマッキ(後退して三回:右足下げる⇒左足下げる⇒右足下げる)
反撃: 左カウンデ・ヨプチャチルギ→右ノプンデ・トルリョチャギ

○ 八番
攻撃 準備姿勢: ナラニ・ジュンビソギ→コンヌンソ・パカパルモ・ナジュンデ・パロマッキ(右足下げて)
攻撃技: ノプンデ・ヨプチャチルギ(右足⇒左足⇒右足の順に前進して三回)
防御 準備姿勢:ナラニ・ジュンビソギ
防御技: コンヌンソ・パカパルモ・ノプンデ・ヨプマッキ(後退して三回:左足下げる⇒右足下げる⇒左足下げる)
反撃:右ティミョ・ヨプチャチルギ

○ 九番
攻撃 準備姿勢: ナラニ・ジュンビソギ→コンヌンソ・パカパルモ・ナジュンデ・パロマッキ(右足下げて)
攻撃技: カウンデ・トルリョチャギ(右足⇒左足⇒右足の順に前進して三回)
防御 準備姿勢:ナラニジュンビソギ
防御技:ニウンチャソ・ソンカル・テビマッキ(後退して三回:左足下げる⇒右足下げる⇒左足下げる)
反撃: 右ティミョ・イイジュン・トルリョチャギ

○ 十番
攻撃 準備姿勢: ナラニ・ジュンビソギ→コンヌンソ・パカパルモ・ナジュンデ・パロマッキ(右足下げて)
攻撃技: ナジュンデ・アプチャプシギ(右足⇒左足⇒右足の順に前進して三回)
防御 準備姿勢:ナラニ・ジュンビソギ
防御技:コンヌンソ・キョチャチュモ・ヌルロマッキ(後退して三回:右足下げる⇒左足下げる⇒右足下げる)
反撃: 右ティミョ・イイジュン・アプチャプシギ

まとめ:3歩の中に、すべての基本がある
3歩約束組手は、単に「3回動く」練習ではありません。1歩1歩を正確に、同じ距離・同じタイミングで出すことこそが、この稽古の最大のテーマです。
防御側は、下がりながら相手との距離を見極め、最適なタイミングで反撃できる構えをつくる必要があります。攻撃側は、常に相手との距離を詰めすぎず、同じ軌道で打てているかを確認します。
また、3回という回数は「ただの繰り返し」ではなく、初動から終動までの身体の安定性・連動性を見直すのに最適な単位です。
約束組手の中でもこの3歩は、動きながら正確な技を出す最初のステップとして、非常に重要な意味を持っています。正確に、繰り返し、丁寧に。三歩約束組手を通じて、テコンドーの“使える技”を身につけましょう。